2018年9月7日金曜日

皮膚の刺激と自律神経

吉冨 信長
2017年8月10日 ·

「ふれあい」とは心と心を通わせることを言いますが、もとは「触れ合う」から来ています。お互いの肌を触れ合ったり、タッチしあったりすることが、心の通い合いへ繋がっていくのです。

肌・皮膚の刺激はそのまま脳に直結しています。日本人が少ないとされるスキンシップは、特に現代社会では必要とされる行動です。


皮膚に触れることで、愛情ホルモンまたは絆ホルモンと呼ばれるオキシトシンが分泌されます。オキシトシンはそもそも分娩や母乳分泌を導く女性特有のホルモンとして捉えられていましたが、現在では老若男女、誰にでも分泌されるものということがわかっています。

そして、このオキシトシンは自律神経を整う上でとても重要な役割を果たしています。

自律神経には、活動をしているときやストレスを感じているときに働く交感神経と、リラックスしている・体の回復をしているときに働く副交感神経に分かれます。現代人はストレス過多や睡眠不足によって交感神経が過剰になりやすく、自律神経のバランスを崩しやすい傾向にあります。

交感神経優位のときには、体はアドレナリンやノルアドレナリン、コルチゾールなどのホルモンの濃度が血液中に高まってきます。これらが一時的であればさほど問題にはならないのですが、長期で過剰に持続してしまうと、キレる、イライラする、落ち着かない、高血糖になるという症状があらわれます。

さらにアドレナリンやコルチゾールは血糖値を上昇させるだけでなく、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きまで悪くします。

実は、皮膚刺激などによりオキシトシンが分泌されれば、アドレナリンやノルアドレナリンそしてコルチゾールの分泌を抑制することがわかっています。つまり、オキシトシンは交感神経の働きを抑え、副交感神経の働きを高めてくるのです。

また、オキシトシンは、ノルアドレナリンの分泌をコントロールするセロトニン(通称・幸せホルモン)の働きを促進します。セロトニンは睡眠ホルモンであるメラトニンの材料にもなるため、オキシトシンは良い睡眠をとるのにも必要なホルモンといえるでしょう。

最近の研究では、オキシトシンが胃腸の不調を改善することが示されています。オキシトシンがストレスなどによって損傷した胃や腸内の上皮細胞内でプロスタグランジンE2という生理活性物質の放出を増加させ、腸の損傷の修復を促進し、傷害から保護することがわかっています。実際に、米国をはじめ放射線療法によって損傷した腸の治療や過敏性腸疾患(IBD)にオキシトシンを投与して改善しています。

皮膚刺激は私たちの生体に様々な利点を持ちますが、中でもオキシトシンという脳内最強のホルモンを分泌させ、自律神経の正常化をはじめ、多くの効果をもたらすのです。

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